ララフェルとパイッサ

のんびり気ままに創作小説やら日記やらをあげていくブログ

【創作小説】お誕生日おめでとう!

 

らまま、お誕生日おめでとう!

あなたが生まれてきてくれてから、
本当に本当に、毎日が楽しいです

ありがとう。大好きです。

僕かららままへのプレゼントに、
このお話を。

あと、エオルゼア時間とリアル時間で食い違いがあるのに、リアル時間基準で誕生日を祝っていいのかめちゃくちゃ悩んだ結果を書かせていただきました!

一言で申しますと、

!!!!捏造注意!!!!

今回、ストーリーに関するネタバレはありません!

以上、注意事項でした。
この先は自己責任で!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誕生日?」
「そう、誕生日。Lamamaさんの誕生日っていつですか?」
いつものように宿屋でチェックインをしていたら、主人が突然そんな話をふってきた。
「すみません、誕生日って、知らなくて………」
「あ、そうだったのですね。実は、誕生日特典サービスみたいなのを始めようと思ってまして。常連さんの誕生日を聞いて回っていたのです」
主人が申し訳なさそうな笑顔でそう説明してくれた。
「なるほど。では、分かったらお伝えしますね」
出来るだけ柔らかく微笑みながらそう返す。しかし、その言葉に主人の笑顔はますます複雑なものになってしまった。
「ありがとうございます。でも、分からなかったらそれで大丈夫ですからね」

部屋に入って布団に沈み込む。
身体中の疲労感がじんわりと布団に溶け出す。ぼんやりと天井を眺めながら、先ほどの宿屋の主人との会話を思い出す。
私は、自分のことに関する記憶をほとんど持っていない。
出身はどこだ、とか、どんな両親だった、とかそういう昔の記憶がほとんどない。持っている記憶といえば、自分の名前とその由来。それから、幼馴染のNalanと出会った時のものだけだ。
Nalanとの出会いの記憶もほとんど朧げだが、不思議とNalanが幼馴染だという記憶ははっきり残っていた。
だから私は、自分のことについて知りたくなると、きまってNalanに頼ることにしている。それが本当かどうか、確かめる術はないが、仮に嘘だったとしてもそれでいいと思っている。
--ホワンホワン、ホワンホワン
リンクシェルの呼び鈴を鳴らすと、3コール目でNalanが応答した。
「やっほー!」
「Lamamaだけど、今大丈夫?」
「Lamama〜〜!どったのー?リンクシェルってことはリテイナーじゃなくて幼馴染としての呼び出しだな?!」
このとても軽やかな女の子こそ、幼馴染で専属リテイナーをしてくれているNalanだ。もう少し、テンションを下げてくれてもいいんじゃないかと、いつも思っている。
「私の誕生日って知ってる?」
「誕生日?知ってるよ!霊1月1日生まれ!」
ものすごくあっさり分かってしまって拍子抜けした。なんだ、宿屋の主人と話してる時にリンクシェルをかければよかったな。
「なるほど、ありがとう」
「あ、でもLamama、きっと誕生日の概念勘違いしてると思う!」
「…と、言うと?」
「私たちっていつも、日が昇って沈んでまた登るまでを1日ってしてるじゃん?誕生日のカウントはそれとは違うんだよね」
「んん…?」
「実は、太陽の動きとは別にカウントする‘1日’って区切りがあってね?むかーしむかしのえらーい人が決めたものらしいんだけど……」
Nalanの説明によると、太陽の昇降を基準にして数える通常の1日とは別に、時の流れを基準にして数える‘1日’があるらしい。その季節によって‘1日’の長さが変わっていって、例えば星1月の‘1日’は約20日。霊1月の‘1日’は18日。星2月の‘1日’は約19日、みたいな。
この数え方で進んだ‘1日’が誕生日の日付にあたるらしい。
「私も詳しくは説明できないから、気になったらグブラ図書館あたりに資料があるんじゃないかな!」
「なるほど…、なんとなくだけど分かった……、でもこれ、どうやったら分かるの?」
「そこはそれ、誕生日カレンダーなる便利なものがあるんだよー!……それで見るとなんとですねー!」
そこでリンクシェルが途絶えた。と同時に部屋の扉がノックされる。
「まさか…」
部屋主の許可が下りる前にバーンッと勢いよく扉が開く。
「Lamamaー!お誕生日おめでとう!!」
扉から現れたのは予想通り満面の笑みを浮かべたNalanだった。
「はいこれ!Lamamaにって預かったプレゼントだよー!」
そう言って、見慣れない花で構成されたミニブーケを差し出して来た。
「これは…?」
「それはねー、異邦の花で‘アネモネ’っていう品種なんだって!黄色のは‘薔薇’っていう品種!花言葉は私も知らないんだけどね〜」
Nalanは元気よくそう言い切って、もう片方の手に持っていた箱をカパッと開けて差し出してきた。
「はい、こっちは私からの誕生日プレゼント!一緒に食べよー!」
可愛らしいサイズのカップケーキが2個。
「Happy Birth Day」のピックを見るに、前々から準備していてくれたのだろう。
ほんわかと胸が温かくなる。Nalanの心遣いがとても嬉しい。と、同時に、前にもこんなことがあったような…と不思議な感覚に陥る。
「ありがとう」
自然と、感謝の言葉が溢れた。Nalanからはたくさんのあたたかい気持ちをもらっている。こんな言葉だけでは足りないくらい感謝しているのに、伝わるのだろうか。
お皿を探していた手を止めて、Nalanがこちらを振り返る。
「Lamama」
言葉を探すように、Nalanがゆっくり瞬きをする。
「私を見つけてくれて、ありがとう」
いつにない真剣な瞳に吸い寄せられる。
その瞳から目をそらさずに、見つめる。
ちゃんと感謝を伝えさせてくれるのは、きっと1年に1回だけだから。ゆっくり言葉を探して、結局、同じ言葉を贈った。
「Nalan、私を見つけてくれて、ありがとう」
Nalanが端整な顔をくしゃっと歪めてそっぽをむく。
「ああー!もう!こういうのガラじゃないっていうか?!恥ずかしい〜〜」
そう言いながらお皿に乗せたケーキを持ってくる。
真剣な話はやめだ!とでも言いたげにいつもの3倍ましのテンションでNalanが仕切り直した。
「はい!改めまして!Lamama、お誕生日おめでとー!」

今年も、たくさんのいいことがおこりそうだ。